鬼怒川温泉 昭和と廃墟と再生を感じる温泉宿①
(あさやホテル 公式HP画像より)
毎年恒例となっている温泉のことを考えていて、昨年行った鬼怒川温泉のことを思い出して、ついつい記事を書きたくなってしまいました。
昭和時代に人気の観光地であった鬼怒川温泉は、バブルの崩壊と共に観光客が減り、それでも各ホテルが頑張っていましたが、地元栃木県で鬼怒川温泉のホテルの70%以上が融資を受けていた足利銀行の国有化に伴い、ホテルの多くが倒産に追い込まれました。
足利銀行の融資によって建設されたホテルが多いため、当然ながら人気の観光地であり、年間300万人以上も来客する地域だからこそ、沢山融資しても返済は可能だと思って融資したのだと思いますが、鬼怒川温泉のホテルは大規模のホテルが多く、そして豪華です。
鬼怒川温泉のホテルは、崖下に鬼怒川が流れており、その崖上の両端にホテルが建っています。
よくもこんな場所にこんな大きなホテルを建てたものだと感心してしまいますが、崖沿いに建設されていますので、倒産後に支援なり買収してくれる会社があったホテルは良いですが、買い手がないホテルは、解体も出来ずに廃墟となっているホテルもあり、廃墟マニアには有名なスポットでもあるようです。
鬼怒川温泉を代表するホテルが「あさやホテル」で千と千尋の神隠しのモデルになったと噂のホテルとしても有名で、鬼怒川温泉周辺には観光スポットが沢山ありますが、「あさやホテル」の館内も一見の価値アリです。
(Wikiによるとバブル絶頂期に建設され総工費73億円みたいです。)
「あさやホテル」の色々な意味で凄いところは、先に書いた通り、足利銀行の経営破綻により産業再生機構により支援されることになりました。いわゆる倒産です。
そこから見事再建し、今でも鬼怒川温泉で一番のホテルと言って過言ではないと思います。
そんな中で、このホテルに泊まると鬼怒川の向かいに奇妙なホテルを眺める事が出来ます。
奇妙と言うのは、そのホテルがすでに倒産し、解体されずに朽ちていくのをただただ眺めるのみとなっているからです。
そのホテルの名前が、鬼怒川第一ホテルときぬ川館本館です。
きぬ川館本館はかっぱ風呂が有名だったらしいが負債額は30億円で1999年6月に倒産したので19年も放置されたままということになります。
そして、もうひとつのホテルである鬼怒川第一ホテルは、あさやホテルと同系列のホテルだったようです。
あさやホテルの創業者一族が、有限会社あさやグリーンパレスを創業し、鬼怒川ホテルグリーンパレス(倒産後、伊東園ホテルズが買い取り)を1973年に開業し経営していて、その有限会社あさやグリーンパレスが大半を出資した第一商事株式会社によって鬼怒川第一ホテルが経営されていました。
同系列のホテルであっても、あさやホテルは一度実質的に倒産しましたが見事復活し、鬼怒川ホテルグリーンパレスは、伊東園ホテルズの系列になりましたが2015年12月に耐震工事と設備点検で閉館されて以降約3年間閉館されたままです。
これほど長く閉館されるのは珍しいですから重大な問題などがあったのかもしれません。(伊東園ホテルズは最低限の投資しかしませんので)
そして鬼怒川第一ホテルは、2009年に自己破産後、約10年も解体もされずに放置されています。
それをあさやホテルの窓から眺める事になってしまうのは何と表現すべきか分かりません。
鬼怒川温泉に行くと昭和な感じが凄く伝わってくるのが個人的には凄く良くて、街全体としては、寂れた温泉街と言った表現がぴったりな感じとなっています。
でもホテル内は、どこも宿泊客は多く、観光スポットにも人が多いです。
特にあさやホテルは、人気のホテルなので、外とは別世界で活気があります。
昔の宿泊費はかなり高かったようですが、今では1人15,000~20,000円くらいで宿泊できますので、我が家にとってはちょっと高めですが、この金額で宿泊できるのも今だけかもしれません。
大江戸温泉物語や伊東園ホテルズも徐々に高くなっていますから、それだけ利用する人が増えたということだと思います。
景気が良くなればあさやホテルも強気の価格設定になっていくでしょうし、それだけの価値があるホテルだと思います。
不謹慎を承知で言ってしまえば、あさやホテルは、解体されずに朽ちていく弟(同系列ホテルと言うことであえてこの表現)を眺め、その弟を飲み込んばかりの轟音で流れる鬼怒川(平成27年9月関東・東北豪雨では鬼怒川温泉の鬼怒川プラザホテルの露天風呂を崩壊させた)を眺める事が出来る世界で唯一の豪華ホテルです。