鍵付防音個室化でネットカフェの規制が厳しくなるのでは①

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<俺の部屋HPより>

鍵付きの防音個室タイプのネットカフェの存在を知り、これだったらセキュリティが強化されますので、女性でも宿泊代わりとして使えますし、たまに利用する私にとってもヘッドフォンいらずで家にいるときのように過ごせますし、電話があってもすぐ出れますからメリットあるなと思っていました。

で、気づいたのが、だったら何故今まで鍵付き防音個室のネットカフェがなかったのかと思いちょっと調べたのですが、ネットカフェってグレーゾーンで運営されている業態なので難しいです。

そもそも一部の人しか存在を知らないだけで、鍵付きの防音個室というネットカフェはかなり前から存在しており、大手チェーン店は、今までそれをしてこなかったというだけです。(一部実施していた(または別名義でしていた)大手もあります)

例えば、私の住んでいる横浜では、昨年9月に閉鎖されたようですが、「910(キュート)」というネットカフェがあったようです。

記憶が曖昧ですが、その周辺はよく歩いたことがある場所なので知っていたのだと思いますが、14年間も営業していたようです。

鍵付きではあったようですが防音ではなかったようです。

そして今でも営業しているのが「俺の部屋」というネットカフェで、普通のネットカフェは、シングル主体の部屋が多いですが、ここは2人利用の部屋が断然多いネットカフェになっています。


大手は、VIPルームとか言って2人以上のタイプの部屋もありますが、あくまでも1人利用が主体としていますが、2人タイプが主体って、いかがわしいことに利用しようとする人がいてもおかしくないです。

 

ネットカフェというのは、仕切られた個室を提供するサービスですが、ネットカフェという業態に対して法律があるわけではなく、むしろ法律の網をかいくぐって存在する業態です。

詳しいことは分かりませんので、簡単に書けば、ネットカフェは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律風俗営業法、略して風営法)」の接待飲食等営業の3号営業に該当します。(実際は該当しないようにしているのですが)

「3号営業:区画席飲食店。他から見通すことが困難で広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの」

と定義されており、一般的なネットカフェは、2~3㎡程度ですから「広さ5㎡以下」に含まれてしまいます。

風営法に該当すると深夜営業(午前0~6時 地域によって多少変わる)が出来なくなりますので、ネットカフェのビジネスモデルが成立できなくなるため、広さは変えられませんが、その代わり「他から見通すことが困難」という定義を該当しないようにすることで風営法に該当しないようにしています。

「他から見通すことが困難」ではないようにするためにスライドドアにしたり天井は空間を設けることで見通せるようにしたり、仕切られてはいますが(天井を空けることで)部屋ではないようにしたりして、風営法の3号営業に該当しないようにしています。

個室型になると禁煙になるのは消防法施行規則第23条第5項第3号の2により煙感知器の設置が義務付けられているためのはずです。(住宅も各部屋毎に設置が義務付けられていたはず)

住宅の部屋くらいの広さがあればまだ良いですが、ネットカフェの個室は狭いですから煙感知器が作動する恐れがあります。個室のトイレなどが禁煙なのと同じ理由だと思われます。

 

ネットカフェは、多くが部屋の広さは5㎡以下ですが、見通しを良くすることで風営法の基準外となり、24時間営業ができた訳ですが、ネットカフェと似た業態で、こちらも風営法の適用外となることで24時間営業している業態がありました。

それが個室ビデオ店(DVD鑑賞店、DVD試写室)です。

 

ネットカフェが接待飲食等営業の3号営業に該当してしまうため該当しないように見通しを良くしたと先に書きましたが、個室ビデオ店は、風営法性風俗関連特殊営業の3号営業に含まれます。

同じ3号営業ですが、接待飲食等営業の3号と性風俗関連特殊営業の3号の違いがあります。

<警視庁のHPにまとめられています>

個室ビデオ店が含まれる性風俗関連特殊営業の3号営業の定義は

「専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場として政令で定めるものを経営する営業」

となっています。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について(通達) 警察庁生活安全局長(平成30年1月30日)

法第2条第6項第3号(2)

「専ら」とは、他の営業でも同様であるが、おおむね7割ないし8割程度以上をいう。

と解釈が書かれています。

「専ら」の定義である7割ないし8割程度以上を下回れば個室ビデオ店が該当する性風俗関連特殊営業の3号営業には該当しないことになりますので、例えば4割を一般DVDにして6割をアダルトDVDにすれば個室ビデオ店であるにもかかわらず、風営法性風俗関連特殊営業の3号営業に該当する個室ビデオ店でなくなることになります。

大雑把に言ってしまえば自称個室ビデオ店と言ったところでしょうか。

下の画像の通り個室ビデオ店大手の金太郎・花太郎グループと宝島24の店舗募集ページに風営法適用範囲外でやってるとちゃんと書いてありました。

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<個室ビデオ店の金太郎・花太郎グループのHPの物件募集ページ>

個室ビデオ店として営業していても24時間営業している時点で、風営法の適用範囲外での営業であることは間違いありません。

 

下品なこと書いてしまえば、2016年に改正された風営法が施行されて、さらに2018年の解釈にも書かれてある通り、取締りというよりも適正化に導く方針になっているようなので、ネットカフェも個室ビデオ店も基本的には、一人で入室して、一人で楽しむものであり、それがアダルト的なものであっても自分一人で楽しむものに対して、他のいわゆる性サービスと同列に規制するのはおかしいだろうということかもしれません。

 

ちょっと長くなってしまったので2回に分けます。