ランドセルPart30 私がラン活することにした小学生の時の記憶

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「私のは何で壊れないんだろう」

 

これは私が小学5年ごろに同級生の仲良かった女の子が私に向かって言った言葉です。

壊れないと言ったのはランドセルのことで、女の子はどうしてもランドセルが壊れて欲しかったらしい。

壊したいといってもランドセルを投げたり、傷つけたりするわけではなく、単純に手でランドセルをつぶすように押して壊そうとしていたらしいが全く壊れる気配はなく思わずつぶやいた言葉でした。

その女の子が何故ランドセルを壊そうかと思ったかというと当時私が通っていた小学校では、ランドセル通学が決まりでしたがランドセルが壊れた場合はリュックか手提げかばんでの通学が認められていました。

小学校5年生くらいになると1~2割くらいがランドセルが壊れたため手提げかばんで通学しており、その女の子も早く自分もお気に入りの手提げかばんで通学したかったためです。

 

ランドセル通学は子供(小学生なので子供ですが)っぽいのでどうしても嫌だと女の子は、よく話していましたが、その女の子の友達のランドセルは壊れたのに自分のは壊れる気配もなく、仕方なく女の子は友達に聞いたら「小学校4年の頃にはボロボロになっていて、気づいたら壊れていた」と言われたらしいが、自分のは壊れる気配がないため、さすがに投げるとか傷つけるのは気が引けるため、押しつぶしたらそのうち壊れるだろうと思ったが全く壊れる気配がない。

その女の子は、毎日コツコツ押しつぶしていたが、ある日母親に見つかって叱られて以来、悪いことをしていたことに気づいて結局小学生の6年間はランドセルで通学していました。

 

「私のは何で壊れないんだろう」という言葉は今でも鮮明に覚えています。

残念ながら言葉だけで、人気があった女の子で可愛かった記憶がありますが、顔と名前が思い出せませんが、言葉だけは覚えています。

女の子の言葉以降、自分のランドセルも壊れていないことに気づきました。

乱暴に扱っていたので色々な箇所に傷はありましたが、型崩れは一切なく、丈夫でした。

友達のランドセルを見るとボロボロで押しつぶされた状態のランドセルを背負っている友達が多く、何人かはすでに手提げかばん通学だったりしました。

「何故自分のランドセルと友達のランドセルはこうも違うのだろうか」

と漠然と疑問に思っていましたが、特に気にすることもなくいつも通り、遊びにいくため家についたらすぐにランドセルを玄関において出かけるのですが、その時は少し投げるような感じになってしまいました。

たまたま母親に見られて、手を掴まれて

「このランドセルは、10万円もする高価なランドセルでおじいちゃんがわざわざデパートに行って選んでよいものを買ってくれたのに何故乱暴に扱うの」

と叱られました。

 

人によっては、たかがランドセルに対して自分のエゴで高価なものを買ったのに叱るなんて間違っていると思う方もいるかもしれません。

しかし私にとって叱られたことは衝撃的でこの母親の言葉も鮮明に覚えています。

叱られることはむしろよくあって、ある意味日常茶飯事だったのですが、物に対して粗末に扱うことにここまで叱られることがなかったため衝撃的でした。

祖父の家は田舎でデパートに行くには2時間はかかります。

すでに70歳を過ぎており、昔は精力的に働いていましたが、病気になりほとんど家にいることが多い祖父でしたのでデパートに行くのは大変だったと思います。

その祖父が自分のために買ってくれたことは、小学1年の時に親から渡される時に言われていたので知っていましたが、すっかり忘れていました。

わざわざ買ってくれたのかと思うと乱暴に扱った自分はなんて酷いことをしたのかと反省しつつ「自分のランドセルが壊れないのは高価なものだからなのか」と今まで漠然と思っていた自分と友達のランドセルの違いについて理解出来て得心しました。

 

今のランドセルは、安いものでも丈夫に作られているでしょうから壊れる可能性も低いと思いますが、ある程度の出費は覚悟して我が子のためにランドセルを買おうと決めました。

最初に見に行ったスーパーで、3万円くらいで売っていましたが、安っぽい印象でしたし、もう少しちゃんとしたものを買おうと思ったら、結局5万円くらいのランドセルを選ぶ必要があり、5万円も出すのであれば、妻が友人から聞いた所謂工房系で選んだ方が良いことを知りました。

デパートで売っているランドセルの多くは、工房系がデパートに卸している場合が多く、デパート仕様の箇所もありますがデパートと同じランドセルが工房で直接購入すると安く買うことが出来ることを知り我が家は工房を何か所か回って(予算上限はあるが)よいものを選ぼうということになり、あちこち回って黒川鞄のランドセルを選び、ようやくあと2週間後くらいに我が子はランドセルをしょって小学校に通うことになります。

 

ランドセル選びの活動を所謂ラン活と呼ぶことをラン活始めてから知りましたが、批判的な人も案外多く、「親のエゴでしかない」「わざわざ高いものを買う価値がない」など私も言われたりしましたが、確かにその意見も理解できます。

親のエゴと言われたら返す言葉がありませんが、その親のエゴには”我が子への大きな想い”が込められています。

果たして私は、親からの”想い”を受け取ることが出来たのか・・・

今更そんなこと親に聞けません。

ランドセルは高ければよいわけではありませんが、6年間という長期間に渡って使うものですから、丈夫であることが絶対条件であり、6年間背負い続けるものとして恥ずかしくないものであることが求められると思います。

だからこそ良いもの=どうしても高くなってしまうことになりますが、費用を抑えることを考えると工房系で選ぶということになるのだと思います。

 

祖父や祖母、両親の想いに対してどこまで受け取っているかは分かりませんが、少なくとも我が子が小学生時代にランドセルが壊れてしまうようなことがないものを選んだつもりですし、それは我が子に恥をかかせることがないためでもあります。

家族によって小学生の前に高価なものを渡す場合もあるかと思いますが、基本的にランドセルが祖父、祖母、両親からの初めての高価なものになりますから、ちゃんとしたものを送りたいという想いを私も引き継いだつもりです。

 

反論あるとは思いますが、別に私は立派な人間でもなく、私自身は安い服ばかり買ってきていますが、それでも我が子が背負うランドセルは、スーパーのものは嫌でした。

スーパーに対して大いなる偏見と言われたとしてもスーパーは嫌です。

スーパーも直接製造しているわけではないでしょうから、どこかしらの工房で作ったものを売っていると思いますが、それでも嫌です。

先にも書いた通り壊れるなんてことはないと思いますし、素人目にもデパートのランドセルと大きな違いがあるようには思えませんので、スーパーのランドセルでも6年間使える(サポートもありますし)とわかっていてもやっぱり嫌です。

ちっぽけな見栄と言われたとしても、それでも見栄張って我が子に少しでも良いランドセルを買ってあげたいと思いラン活していました。

 

妻とあれこれどこのランドセルが良いか話して決めましたが、そんな親の想いは多分我が子に伝わらず、多分我が子は乱暴に扱うことでしょう。

親として半人前の私は、そんな我が子に叱ってしまうかもしれません。

子供からすれば、親の勝手で買ったのに何故怒られないといけないのかと指摘されるかもしれませんが、それでも半人前の私は叱ってしまうことでしょう。

我が子への想いなんて自分も子供が出来てからようやく分かりましたが、もし子供が出来なかったらわからないままだったかもしれません。

 

ついつい叱りすぎてしまったり、甘やかしすぎたり、常に親としての自分が我が子の言動、態度で試されていると思いますが、反省することが多いです。

親として半人前だなと思うことが多いですが、そんな半人前の親の想いをいつかは気づいてくれることを信じて・・・

 

 

何か読み直すと恥ずかしい内容になっていますが、中年になった私が未だに覚えているランドセルでの出来事の話しです。

最初に書いた女の子は今頃何をしているのか・・・